【狂81】テクノロジーと芸術

95/5/25

■お忍びで名古屋に行った。白川公園の科学館でやっている Artec'95 という展覧会を見てきた。Artec とはその名の通り、最先端の技術を用いた芸術表現を集めた展覧会だそうである。

■知り合いの Optical tours (知っているのはそのうちの一人だけであるが)の作品が審査員賞をとったというので、これはめでたいと見に行ったのである。

■世界中からの招待作品も含めて、国内外の50を越す作品が並べられており、なかなかの圧巻であった。しかし電気が止まれば、お手上げの展覧会でもある。いろいろな作品を見て感じたことは、ホログラムやブラウン管を代表とする映写表現が、最先端テクノロジー芸術の作品に共通するベースなのだなぁという点である。

■まえから気になっていたのだけど、映写表現というのは、どうも中途半端にマテリアルの具体性とか実在性のもつインパクトが希薄で、なんだかちょっとひいている部分があって、欲求不満が残ってしまう。もちろん具体性が希薄であるということは、一方で映像表現の長所でもあるのだが。だったら何で、それを徹底的に追及しないのだろう。

■バーチャルリアリティも含めて、映像表現が現実性を追求するというコンセプトは、あまり面白くない。もちろん人を納得させるには現実性というのは一番手っ取り早いやり方であるし、実際にそうした表現の中に「現実」があるのだという主張もわからなくもないのだけど。

■それにくらべれば、ちょっと前までのハイテク芸術であったモーターや歯車などを組み合わせたメカニカル(機械的)な作品群は、その具体性と精緻さゆえに迫力があった。(今回の作品展でも、ピーターボッシュ&シモーネシモンズによる、バネで連結された巨大な箱がモーターの力によってゴンゴン揺れるという作品があったが、どちらかというと異質な存在だった)

■最近はやりのバーチャルリアリティっぽい作品も「体験」させてもらったが、その作品の中で遊ぶおもしろさよりも、中がムレムレでちょっと臭いヘルメットを装着していることの方が、私にとっては強烈な印象であった。

■ずいぶん酷評になってしまったが、全体的には遊べる展覧会だった。Opticaltours の作品も上品で抑制が利いていて、かわいく仕上がっていてとてもよかった。さすが審査員賞だ。ハイテクって言ったって、それをごりごり全面に出すのはちょっとね・・って感じかな。

■Artec'95 は6月25日まで。名古屋市科学館(伏見駅下車)にて。入場料・一般1200円でした 。


next home back
[CopyRight] Takekawa Daisuke : Kyojin Shinbun & DDT-soft