フィールド映像記録大上映会

[KOK 0139]

21 Dec 2000


歴史民俗学博物館で見つけた京都国立博物館の若冲展の図録は、ずっしりと重かった。博物館の図録としてはかなりよくできており、思わず買ってしまった。

千葉の友人宅には京都時代の友人が5人集まった。わずか十数年ほど前では考えられないような現在だ。バブル絶頂期にわれわれが出入りしていた21世紀を看板にしたデザイン会社は、結局、21世紀を見ることなく消えていた。

羽田発北九州行きの飛行機は、富士山の山頂を経由して太平洋ベルト地帯をきれいに縦断する。機体が小さく5000メートルくらいしか高度が上がらないおかげで、火口のなかまでくっきりと初冬の富士山を見下ろすことができた。

飛行機は、そのあと愛知県瀬戸市の実家上空をとんだ。かつての新興住宅地の楕円状の外周のすぐ横に愛知万博の予定地である海上の森が寒々と見えた。

飛行機はさらに名古屋市上空をかすめ鈴鹿をこえ滋賀から京都に入る。新幹線でいつも見ていた懐かしい風景だ。やがていくつもの川が蛇行しながら合流していく。淀の競馬場がその河岸原にくっきりと見える。川の先には海がある。大阪だ。箕面の森の端に引っかかっているのは万博公園。太陽の塔の北面の邪悪な顔を遙か上空から探す。

のっぺらぼうの埋め立て地が目立つ神戸をすぎ明石にかかると、淡路島の全貌が姿をあらわす。眼下の緑の森はまるで虫食いのようにゴルフ場に浸食されている。瀬戸内海が大河のように広がっている。

やがて、飛行機はゆっくりと高度をさげ北九州に着陸する。

さて、そんなこんなで今週はまったく信じられないほど忙しい毎日だ。東京から戻った翌日から、一週間、集中講義をやっている。朝の9時から夜の5時半まで、一日8時間半話し続けなければならない。12月19・20・21・23・24・25とほぼ一週間それが続く。クリスマスの連休まで授業の日程をくむとは、キリスト教徒ならば破門されそうな強行スケジュールだ。しかもそのあいだに容赦なく忘年会が割り込んでくる。

それもこれもイギリスで半年暮らした罰だろうか。日本という国はとんでもなく勤勉な国なのだ。

しかしこのままでは、とても脳が持たないので、クリスマスにかけておこなわれる予定の集中講義の後半は、大ビデオ上映会をすることにした。北九州に来て5年間にとりためたフィールドの映像を順次みていこうと思う。

上映スケジュールは以下の通り。ぜひ、映画を見るような感じで遊びに来てほしい。会場は北九州大学本館C−301。もちろん入場無料。

23日
10:30〜12:00
 「藍島合宿」「韓国探訪」「密着取材!小倉八坂夜の豆まき」
 北九州フィールドワーク研究会の断片的記録映像。
13:00〜15:30
 「ソロモン諸島のイルカ漁」ディレクターカット版・全2時間
 ドキュメント2000の番組で撮影された非公開映像の数々

24日
10:30〜12:00
 「西表99」
 西表の密林で繰り広げられた、狩猟採集生活の映像記録。
13:00〜15:30
 「南の島のクリスマス」
 ソロモン諸島の感動的なクリスマスと子供たちのさまざまな遊び。

25日
10:30〜12:00
 軍艦島・海上の廃屋
13:00〜15:30
 さらはま写真記1
 さらはま写真記2
壮大なカツオ漁と静かな村の暮らし。そして老漁師の語り。

25日は昼に九州フィールドワーク研究会主催の餅つき大会も予定している。

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Takekawa Daisuke