北九州について知りえたこと

【狂152】

96/04/03


北九州にて4日目の朝である。昨日の夜は市内のどこかで、雪がつもったという。4月なのにである。とんでもない。ここは邪悪な日本海の一部のようだ。さむいさむい。春も名のみの風の寒さだ。

この3日間で、わたしが北九州について知りえたいくつかのことをかこう。北九州をなめちゃいけないよ、すごいんだから。

小倉と北九州の関係について本州地方では、いろいろと誤解されているようなので、まずそれをはっきりさせておく。北九州市というのは、小倉市と門司市と八幡市と戸畑市と博多市と福岡市と、あと知らないけど、いくつかの有象無象の市が、電撃合体してできあがった、超バビロニア的巨大人工都市なのである。九州島の主要部のほとんどは北九州市の支配下といってよく、残りの、牛とか火山とかがある地域は南九州とよばれている。

わたしが所属する北九州市立北九州大学は、北九州の中でも中心地ともいうべき小倉に位置し、大学と新幹線の停まる小倉駅とはモノレールで直結している。(実は、なぜか駅から400メートルほど隙間があいているが。資材不足か計算ミスと思われる。現在、市が威信をかけて鋭意延長工事中だ)

北九州大学は全国でも有数の人口密度の高さを誇る大学で、必然的に大学校舎として九州一の高さを誇る14階建ての新館が、そのキャンパスのなかに燦然と輝いている。

学生の男女比は、女性のほうが多く、たとえば人間関係学科では女:男=4:1である。しかし、大学の西を小倉競馬場、東を陸上自衛隊北方駐屯地にはさまれており、有事や遊事には、むさくるしい男たちがどっと集まるしくみになっている。

14階建ての新館からは、小倉市内が一望でき、東には瀬戸内海、北には玄界灘の海面が光る。雄大な気分になって、ふと足もとをみれば、軍隊の人々が、ヘリコプターをとばしたり、腹這いでもぞもぞしていたりする。蒙古再襲来の時にはここが最前線になるので、ぜひともがんばりとおしてほしいものである。

反対側の足もとは競馬場である。ちょうど本馬場全体を上から見おろすかたちになっている。一説には、大学の15階には秘密の特別観覧室があり、そこからJRAのベッティングルームに、オンライン直結で勝馬投票できるのだという。

ついでにいうとこの建物の6階にすばらしい情報処理センターがあるのだが、そこから学内にLANが通っていない。なんていったっけこういうの。「○○つくって○○つくらず」とかいうことわざあったよね、大工がどうのっていう。いま忘れちゃったけど。「軒先かして母屋をとられる」ちがうな「泥棒とらえて縄をなう」ちがうちがう「仏像つくって魂いれず」そんな感じの「画龍点晴を欠く」みたいな。

実は、きのう、この情報処理センターのなかにひとつだけ電話のアナログ回線があるのを発見し、わたしは部屋の使用許可をとって、ずらりとならぶワークステーションに囲まれながら、ノートパソコンとモデムで通信しているわけである。これが実際ものすごくまぬけ。なんとかしてくれ。

北九州について書こうと思ったが大学のことばかりになってしまった。でも、まだ大学しか来ていないのでしかたがないのである。街についてはおいおいかこう。

小倉弁について。わたしはこれまで、でたらめな小倉弁をかきちらして、繊細な小倉の人々の心を傷つけてしまった。ふかくお詫び申し上げる。今のところ知りえた範囲では、小倉弁の基本は「ちゃ」だそうである。たとえばウーロン茶は、ウーロン茶々となる。おもちゃのチャチャチャはおもちゃのチャチャチャチャである。必然的に加藤さんはみんな加藤チャとなる。

わかっちゃ?


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