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【狂135】ニライタケだよん

96/02/23

今回とりあげるキノコは、シロシビンという物質をふくんでいる幻覚性のものである。具体的には Psilocybe cubensis と呼ばれている種である。京都あたりの山麓にも自生し、わたし自身も以前に食したことのあるヒカゲシビレタケ Psilocybe argentipes と同じシビレタケ属にふくまれている。Psilocybe cubensis は、もともと日本に自生していなかった種であるため、和名は確定していないが、日本精神展開性菌類研究所の提案にしたがい、以下このキノコをニライタケとよぶことにする。ちなみに、バリ島などで有名なマジックマッシュルーム Copelandia cyanescens もおなじシロシビンによる薬効をもつキノコである。

最初にはっきりさせておくと、日本の法律では、シロシビンを化学的に抽出することは非合法とされているが、キノコを所持することあるいは食することに関しては「いまのところ」合法である(これら法律の問題に関しては、あとであらためて論じることにする)。

ニライタケはサイケデリックス(幻覚剤)という点で、あのオウム真理教も製造していたというLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)に似た効果を持っている。もちろんLSDは人工的な合成物質でありシロシビンをふくむニライタケは天然の素材であるから、両者には工業用アルコールとビール以上の差がある。そしてこれら幻覚剤の効果は、タバコ(興奮剤)やカヴァ(抑制剤)などとはまったくちがっている。つまり、視覚神経の変化を中心に身体症状が現れるのである。

摂取する量にもよるが、ニライタケは、先にあげた4つの危険性のうち「身体的依存症」「薬物の毒性による身体(神経)障害」については、ほとんど心配ないとされている。(これらのキノコがお酒より安全なドラッグであると主張される根拠のひとつがここにある)。ただし、人によっては劇的な効果があらわれることがあるので、「精神的依存症」や「薬物の効果から二次的に生じる事故」には注意しなければならない。

前回の狂電でセッティングの重要性を説いたのもこのためである。ニライタケは、まわりの環境や自分の心のあり方に左右されやすいドラッグである。また、一時的に体がしびれ動作が緩慢になるため、心が安らぐ十分に安全な場所でおこなうことも大切である

とくに最初のセッションでは、ほろ酔い加減で楽しめる程度の量を服用し、なれないことからくる不用意な危険はできるだけ回避する必要がある。

それでは、ニライタケを摂取すると、具体的になにがおきるのだろうか。それについては日本精神展開性菌類研究所の所長に詳しく解説していただくことにしよう。

※2002/5/7に、「麻薬、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」が交付され、同年6/6から「マジックマッシュルーム」が麻薬原料植物として法規制されることが決定しました。したがって現在日本国内ではニライタケを所持・栽培・採集・節食することはできません。


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