【狂98】大花火大会顛末記

95/8/23

■花火は打ち上げた。しかし、すべての花火を打ち上げることはできなかった。

■真夏の大花火大会は、前宣伝の派手さにくらべるとやや地味な展開となってしまった。

■はじめに高野川でおこなわれた試しうちで、花火師および見物人がびびってしまったのだ。「この花火、これ以上まちなかで打ち上げたら、やばいんちゃう」とくに、某大阪勤務会社員は完全にこしがひけていた。

■私としては京都の街が花火の紅蓮の光に照らされるというのは、まったくすてきな趣向であると思っていたのだが。間が悪いことに、京都では最近発砲事件が頻発し、しかも街の中には日教組の集会反対をとなえる右翼を監視する機動隊の装甲車が(ややこしいね)、各所に配備されていた。責任ある一般市民にびびるなというほうが無理かもしれない。

■てなわけで、高野川では試しうちをおこなったのみで、いったんアジトにもどり、体勢を立てなおすことになった。残りの花火をどこで打ち上げるのか、なかなか煮え切らないまま時間がすぎていく。夜、11時半ようやく第二弾うちあげの決定が下される。場所は大文字山。

■大文字山の上までは、山道を徒歩で40分ほどかかる。もちろん明かりなどない。しかし、そこにのぼれば京都中がほぼ完全に一望できる。逆に言えば、京都のどこからでも花火を見学することができるのである。12時半われわれは大文字山の「大」の字の中央にたどりついた。あとは打ち上げるばかりである。

■しかし、ここにきてまたしても人々がびびりはじめた。目の前に広がる京都の夜景に圧倒されてしまったのだ。そこかしこに立っている「山火事注意」の看板も不安材料であった。「この花火、こんなところで打ち上げたら、やばいんちゃう」とくに、某大阪勤務会社員は完全ににげごしであった。

■さまざまな内部調整にのすえ、深夜1時、花火は、大文字山から一発だけ打ち上げられ、われわれはにげるようにして山をおりた。

■というわけである。ゆうぐれの花火師ゆうちゃんには、ずいぶんと心労をかけてしまった。私の無理に対してゆうちゃんは精一杯やってくれた。本当に感謝している。花火がちょっとすごかったのがすべての元凶である。

■ところで、まだ私の手元には8発の未使用の花火が残っている。さてさて、どうしたもんだろう。ともにたたかわん。


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