【狂56】原発はどうなった!

95/1/18

■激しい地震の直後とりあえず考えたのは、原発だった。急いでニュースをつけたが、原発関係の報道はなかった。神戸の震災が伝えられた後、マスコミは一斉に神戸の取材に走ったが、私の知る範囲で1月18日の朝にいたるまで、敦賀湾の原発群に関する報道は皆無である。

■敦賀では震度4を記録した。地震のときに稼動していた原発は、緊急停止したのだろうか、それともそのまま発電し続けたのだろうか。とりあえず今回は大丈夫そうだが、本当のところはわからない、日本の政府や電力会社が「事態を正確に把握した上で慎重に報道する」などといういいわけをして、事故の報告を遅らすのはいつものことだからだ。私が欲しいのは迅速な情報だ。しかしその情報がない。

■今回の地震で、日本の土木工学がほこる安全性は、阪神高速の高架と共にもろくも崩れ去った。たまたま早朝ということもあり交通量が少なかったから被害は最小限にとどまったものの、設計上の不備はこんご問題にされるだろう。

■放射性物質の充満した原発が安全であるという神話は、このずさんな日本の土木工学が保証しているにすぎない。さらに原発のあるあたりは、今回の震源地の延長上にあたる花折−金剛断層帯や敦賀湾−伊勢断層帯が走っている。この地震で大活躍した活断層は美浜原発の真下を通っている。

■すさまじい地震によっておきた倒壊や火災などで、神戸では2千人をこえる死者が出たと報道されているが、もし数ある原発の一基でもメルトダウンを起こせば、死者のオーダーはそんなものでは済まないだろう。今の季節なら強い北風によって放射性物質はあっというまに京都に降り注ぎ、風向きしだいは名古屋や東京まで被害が及ぶ。そうなればのんきに震災地の様子をテレビで見物しているばあいではない。一億総被害者だ、とほほ。しかも被災地にはいつになったら人が住めるようになるのか。

■わたしはクーラーをかけながら高校野球を見られなくてもいいから、あの危険物をなんとかしてほしい。反省しない犬たちが原発を稼動し続ける限り安心な夜はやってこない。もし敦賀あたりで原発の事故が起きたら、とるものとりあえず西へ逃げる。九州か沖縄か台湾か。この手の災害で助かる方法は一分でも早く放射能のこないところに逃げることしかない。もたもたすれば逃げられなくなる。

■今のうちに言っておくが、原発事故が起きて狂電がこなくなっても心配しないでほしい、環境が整いしだい香港あたりから貴重な情報が発信されることだろう。だれか一緒に船を買いません?
         1995年1月18日


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