[KOK 0275] こくら日記のトップページにとぶ 04 Oct 2006

10・07 大北九州イチバ劇場

 

大北九州イチバ劇場

室町・魚町・旦過の路地に迷い出て、街が劇場に変貌する歴史の目撃者となれ。耳を澄ましかすかに流れる異国の音色を探せ。好奇心と本能を信じトリックスターたちの後を追え。すれ違いざまに秋波を送る見返り美人と恋に落ちよ。さすらいの女たちが突きつける慟哭の叫びを聞け。さあ新しき遊民たちよ、街を漫歩し奇怪な異人たちとまつらうのだ。

大北九州イチバ劇場

●10月6日(金)
18:00〜 カンヌシによるお払い。公演盛況・市場繁盛・学会発展・野犬徘徊

大北九州イチバ劇場

●10月7日(土)
10:00〜 大學堂(いろいろ屋)・旦過弁当限定100個売り出し
12:00〜 さすらい姉妹 第一回目公演〈旦過昭和館横広場〉
14:00〜 バリ大舞踏団 練り歩き〈旦過→リバーウォーク〉
15:00〜 バリ大舞踏団 公演一回目〈リバーウォーク北九州〉
17:00〜 バリ大舞踏団 公演二回目〈リバーウォーク北九州〉
17:30〜 バリ大舞踊団 練り歩き〈リバーウォーク→井筒屋→魚町→旦過〉
18:00〜 大學堂売り出しなどなど・・・ 
18:30〜 さすらい姉妹 第二回公演〈旦過昭和館横広場〉

大北九州イチバ劇場

「バリ大舞踏団」・「さすらい姉妹」。昨年、万博やテント芝居で九州フィールドワーク研究会(野研)とコラボした総勢50名のプロの演劇・音楽・舞踊集団が、この日のために小倉に集結します。

すでに今週月曜から、北九大の「ちゃんちき三人娘」が宣伝隊となってマンダリンや三線をひきながら市場の中でチラシを配っています。

大北九州イチバ劇場

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大北九州イチバ劇場とは
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大北九州イチバ劇場

かつて長崎街道を歩く異人たちの行列を目撃した人々は、その見慣れない立ち振る舞いに驚き、遠く未知の世界を想ったことでしょう。そんな南洋の聖なる踊りと音楽がいまひとたび街を華やかに浄め彩ります。

昨年夏、愛・地球博(愛知万博)で16日間にわたりめくるめく南島の幻想を演出し、万衆の喝采をあびたバリ舞踊集団スルヤ・ムトゥとバリ音楽集団スアラ・スクマが、紫川河畔界隈で異国情緒あふれる空間を演出します。

大北九州イチバ劇場

昭和の色合いを強くのこす旦過市場を中心に、小倉の街が、ひとつの舞台に変貌します。見慣れた町並みがそのまま背景となり、役者たちが自らの身体だけを手がかりに芝居を演じる、そんな日常と非日常の境界を往復する究極の演劇が実現します。

昨年秋、小倉駅北のテントで繰り広げられた息をもつかせぬ仕掛け芝居で、空前の1600人を魅了した水族館劇場が、女優の肉体に極限の表現をまとい、さすらい姉妹となって小倉の路地に登場します。木戸銭はとらずすべて投げ銭で、観客と役者の緊張関係の中で蠱惑的な舞台が生まれます。

大北九州イチバ劇場

そもそも「祭」も「街」も「市」も古くは同じ語源「まつらふ」にさかのぼります。人々が集まって事物を交わすことを意味する「まつらふ」という動詞が、それぞれに変化し現在の意味となったのです。ですから古来より、市に人々がまつらい出でれば、街はにぎわい、祭が興ったのです。

近代のはじめに未曾有の繁栄を極め、古さと新しさが融合したこの小倉の街に、人々がそぞろ歩きをして楽しめるような、そんな路地をもう一度よみがえらそうと私たちは考えています。日本で初めての劇場都市として、あらゆる雑多な文化を内包し成熟した近代の匂いをもつ小倉を新しく創造していくための、これは最初の試みです。

10月7日には、リバーウォークをはじめとして、魚町、旦過で歌舞や芝居が繰り広げられます。いつ始まりいつ終わるともしれない祭です。その日、たまたまそこに居合わせた人々だけが、ある街のひとつの歴史の誕生の目撃者となれるのです。

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大北九州市場学会のもくろみ
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大北九州イチバ劇場

なんでこんなことを思いついたのか。

10年前この街に移り住み、そこで出会った北九州の市場がことのほか面白かったからである。古き良き風景をのこしながら、それぞれの店が個性を競う市場が、これほどたくさん街中に点在していることに、まったく驚いてしまったからである。数えてみた。100を越えた。歩いてみた。うまいものをたくさん食べた。海と山をひかえた北九州市は、贅沢なほど豊かな地元の幸に恵まれており、それが市場に集まる。年間を通して一定の規格品の供給をしなければならないスーパーマーケットとの一番の違いだ。

かつて都市は劇場であった。

大北九州イチバ劇場

中世より都市は、その周辺の共同体を巻き込んだあらゆる雑多な文化集合体として成長し、それぞれに独自の顔を作り上げてきた。しかし今や都心の風景は、世界中どこに行ってもさほど変わらない。近代化が進むに順い、都市機能は標準化されたコマーシャルユニットとなってしまった。さて、我が北九州は今ひとつの瀬戸際にいる。福岡や札幌を追従して東京の雛形のような一地方都市を目指すのか、あるいは、街の表情を作り上げ日本最大の劇場都市へと変貌するのか。

大北九州イチバ劇場

この街には不思議な潜在力がある。

海峡や国境を身近に持つこの街は、歴史的にも空間的にもマージナルな資質を兼ね備えている。異質なものがくりかえし境界を越えて立ちあわられ、周辺化されつつある昭和の繁栄の遺産は貴重な資源に生まれ変わった。パンチパーマにカクウチ、焼きうどん、競輪。眉をひそめないでほしい。この街の魅力は、住んでいる人も気づいていないような無自覚な雑多性の中にこそある。とりのこされたのか、おさまらないのか、規格化や標準化を軽く超越するポテンシャルはこぎみよいほどだ。すでに舞台も役者もそろっている。都市を劇場に変える台本。それを実験するために大北九州市場学会を立ち上げた。

10・07 その日 小倉の街は劇場となる。


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