11 Jul 2002
■あーもう沖縄は梅雨が明けたんだぁ、なんて気づいて、無性に西表に行きたくなったわけですね。で、飛行機をきいたら、6月中出発なら5人以上の団体で安いのが手にはいるというわけさ。
石垣島の麒麟
■んで、その辺にうろうろしている学生つかまえたところ、なんと6人もあつまって、そのまま速攻で申し込んじゃったのですね。夏休みに入ってからにしましょうよ、なんて言う人もいたけれど、もう気分は西表なのだよ。
■なんとか有給休暇を取って、大事な約束も反故にして、いきあたりばったりもなかなか大変よ。なにしろ急な話であるわけで、ほかの6人もそれぞれ相当無理をしたと思うさぁ。こんな学期のさなかに8日間も予定をあけるのだからよ。しかも、行くか行かないかは30分以内の即答。とんでもないね。
■それから海の道具をそろえて、テント生活の共装個装の割り当ても決めて、カヌーを運ぶ算段もして、潜水技術・危険生物・救急医療のレレクチャーもこなして、石垣島の知人にも連絡して、なにもかもバタバタであったけれど、そのへんはまあなんとかクリアしたわけさ。
■しっかし、ただ一つ、大事なことを忘れておったのだなぁ。
500円の宿
■昔は船でのんびりと旅をしたものだけど、今では飛行機でひとっ飛び。石垣に着いて昔の知人に挨拶をして、一泊一人500円の超破格の宿で超暑苦しい夜を過ごして、なんと翌日の午後には、西表の西、白浜の防波堤に立っていたさ。
■そういや、ここまでカヌーできたこともあったな。学生時代からずっと通っている思い出の海なのね。白浜から先はもう道がなくて船をつかわないとわたれない。そして、そんな時いつも海の向こうの船浮から「じゃじゃ丸」が颯爽とやってくるわけだな。
■「おまえら、台風がくるぞ」と米蔵。われわれの到着を待っていたかのようにフィリピンおきに台風5号発生。「どうしよう。でもまだ時間はある。渡れるところまで渡って判断しよう」というわけで、一気に人里をはるかに離れ網取の砂浜へ。
最西端の美しい浜
網取についた!
■最西端の美しい浜。外洋に面した黒い海。それはそれは、まるで幻覚のような鮮やかで生命力あふれる世界だったよ。群青の空と黄蘗の砂、鶸萌黄の森と浅葱の水。照りつける太陽の下にどこまでも広がる地球という球体。安らかな世界にたどり着いた我々は、その真夏の午後いっぱいを木陰で昼寝についやしたのですね。でも今思えば、それはほんとうに幻覚だったかもしれないねぇ。
サガリバナ Barringtonia racemosa Spreng キーフジ
流れるサガリバナ
■翌日、台風は進路を八重山地方に向けたさぁ。穏やかだった海は荒々しい波しぶきを見せ始めたのだよ。そして、それからというもの大量の荷物と食料をかかえ撤退につぐ撤退。網取湾のウダラ浜に逃げ込み、数時間後に船浮のイダの浜に逃げ、最後、いよいよ台風が迫ると、船浮の公民館をお借りしてそのまま沈没と相成ったわけさぁ。おかげでみんなテント場の設営と撤収の手際はとっても上達したよぅ。
嵐が来た
■しかし、なんでかなぁ。台風を避けるために無理してこの時期にやってきたのに、みごとに直撃を食らってしまうとは。くらい嵐の中で我々は考えたさぁ。考える事くらいしか、する事もなかったからねぇ。
荒れる海
■そしてたどり着いた結論が「ウガンブスク」どぅ。だれかののろいが、わだかまって雨を降らせているのではないかというのだー。安易な結論。しかしまぁ、いろんな用事をすっぽかしてきてしまっただけに、みなそれぞれ思い当たるふしはあるわけさぁ。「私も西表にいきたかったのにぃ」という人の声も少なからずきいていたしぃ。
あそびにいきたいよー
公民館で沈没
■そういう一人一人の無意識の怨念が、フィリピン東海上の大気圧を著しく低下させ、しかるのちにそれはゆっくりと北上しながら、大型で非常に強い「のろい5号」として、まさに我々を襲わんというわけだね。
流されるいけにえ
テントで沈
■だっから、「かしこみ、かしこみ、しづまりたまえぇ」と出発前にするべきだったお祓いを、嵐の浜で生け贄を捧げて敢行しましたよぅ。そのおかげか台風はわずかに東にそれ、最後の3日間はまたウダラ浜でのキャンプ生活に戻ることができたのさ。その後も天はなかなか鎮まらず大雨にあい、ウダラ川が氾濫したけど、そんなこんなでそれなりに充実した西表生活を送ったわけでありますよ。
神に捧げる舞
あめやみを待つウダラ浜
■それでは、しばし写真で西表の大自然をおたのしみくだされ。
金色に輝く海
台風一過の雲
セマルハコガメがせまる
台風で木から落ちたセレベスコノハズク
修行と入浴をかねて
ジャングルのなかに日が差す
巨大なシダがおいしげる森へ手長エビをさがしに
テナガエビはどこだ
食料・貝
食料・魚
突きも上手になりました
真夏なのに寒い先生
■さーて、いつものようにここからが本題。なんと3年前にシクバ浜に埋めてきた泡盛を回収したのですよぅ。すごい!埋めた場所を思い出しながら一生懸命ほったら出てきたというわけ。やったさ。2本あるうち1本を取り出して、もう1本新しく「舞富名」を埋めてきました。
掘り出された酒
三年もの泡盛
■今回西表に行けなかったみなさんごめんなさい、以前に西表にいったみなさんもそんなわけで、この一升瓶を持って帰ってきましたので、どうか西表の森と海によって熟成した聖なる神酒をお召しあがりに小倉にお立ち寄りくださいましな。あなあなかしこ、あなかしこ。
ターザン親子
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